2006年5月学習会


問題提起
佐藤博(東京・公立中学校)
田所恭介(東京・公立小学校)
コメンテーター 岩川直樹(埼玉大学)

中学社会科  佐藤 博

子どもの現状から「学力」を問い直す

Ⅰ.子どもと学校の「現状」

「学力向上」の風圧~数値化され、乾燥する教育
「領域診断テスト」「基礎学力テスト」「授業改善計画」etc.
「評価社会」の風圧~偽善化され、漂白される教育
「人事考課」「自己申告書」「自己PR」「観点別評価」「指導計画」「面接・面談」
 「格差社会」の浸透~かったるく漂流する十代の「下流社会」
世話されていない子の増加~愛の「貧困」~「甘え」と「不信」
「新エログロナンセンス時代」~過剰な刺激と揮発性の文化~チェーンメール・エロコミ…
「ケータイをもったサル」と「ネットの海」~表層の関係と散乱する情報・体験の喪失
「ヘッドギア」をつけた子どもたち~過敏と無感覚・心の傷口を隠して……
「無記名のトラブル」~匿名と責任回避の時代

それでもおおむね健全な子どもたち……見えにくい希望と抱けない自信
「初めてほめられた」……ヒロシマへ行きたい茶髪だった愛美・あいかわらずの拓也
 幸福は不幸の中に……「中学生の主張」~目を開いて考える
「先生、また劇やろうね」「生徒会っておもしろい」


Ⅱ.学びの転換をめざして

1,学びの“目標”転換

「アタマいい」って何?
「学力」を疑う……処理能力・記憶量~何が大切かわかる・自分で描く・関係と対応


2,学びの“質”の転換

「答え」より「問い」 「教え」より「触発」  「正義」より「視点」「洞察」

「常識」をくつがえす学び~驚きや発見のある授業・疑って確かめる学び・面白い学び

「奥行き」のある学び~「あたりまえ」の奧にひそむ豊かな知に目を開く

世界が見えてくる学び ~社会を動かす学び~自分とかかわる学び

テーマを秘めた学び~「豊かさとは何か」「幸福とは何か」「学ぶとは何か」
「社会を変えてきたのは……上手な反抗・抵抗」

3,“学び方”の転換

一斉授業・「教え込み」授業(客体)から共同授業・「参加型」授業(主体)へ

「勉強」「努力」イメージから「遊び」「探検」イメージへ

「沈黙」「おびえ」の授業から「表現」「自信」の授業へ